【わけ:あり】ナイトクルーザー|2008/1/24

【わけ:あり】ナイトクルーザー

2008/1/24

im049-s.jpg 数年前、私は仕事先で同乗していた車がトラックと衝突し、大破。
意識不明の重体で沿岸の病院に担ぎ込まれました。

車の後部座席。しかも3人掛けの一番真中に座っていた私はトラックと衝突した時に、フロントガラスに猛烈な勢いでたたきつけられたらしく、意識のないまま、生死の境をさまよったそうです。

病院のベッドの上で目を覚ました時には、顔中にガーゼが・・・。

その日の夜、本当は起き上がれないほど打撲がひどかったのですが、激痛をこらえ、なんとか身体を起こし、看護婦さんに付き添われながらも車椅子でお手洗いに行きました。

無理をしてでもトイレに行ったその理由はただ一つ。
鏡で自分の顔を見たかったからです。
そして、お手洗いで一人になった私は、自分の顔を覆っていたガーゼをすべて取り、鏡の前に立ちました。そこには、私とは別の傷だらけで腫れ上がった顔の女が立っていました。

私は、思わず悲鳴をあげてしまいました。

額と頬やあごの下は何本ものガラスで切った傷、まぶたは何か所も縫われ、唇はガラスで削がれ、・・・・でもお医者さんが必死にくっつけてくれたらしく、テープが張られていました。

鼻は折れていたため大きくはれ、顔はぱんぱんでした。

ついその日の朝まであった自分の顔の面影はなく、フランケンシュタイか何かの怪物のような自分の顔にショックを受けつつ、すぐに顔にガーゼを戻し、病室に戻りました。

当時、未婚で彼がいなかった私は、これからの自分の生活、そしてこれから先の自分の未来に絶望し、涙が一晩中とまりませんでした。

M-2

交通事故で意識不明のまま沿岸の病院に搬送された私は、翌日父に付き添われ盛岡の病院に転院しました。
もちろん、女性のお友達にもごく親しい人にしか事故の事を報告しませんでした。
男性にはもちろん誰にも言えません。
それは・・・・お察しの通り、顔がめちゃくちゃで誰にも会いたくなかったからです。

でも、それが運命の始まりだったのかもしれません。
以前飲み会で知り合い少し親しくなっていた彼が、携帯に出ない私を心配して何度も何度も連絡をくれていたんです。

何度も鳴り続ける携帯を見た姉が電話に出た際に、私の事故の事を報告したそうです。

それを聞いた彼は、私の気持が少し落ち着いてからと思ったらしく、入院して一週間が過ぎた頃に突然お見舞いに来ました。

私は、傷だらけのこの顔を見られる事が恥ずかしくて、目をあげることができませんでした。

でも、彼はわたしの顔を見て動じた表情もせず、優しく語り掛けてくれました。

そして私の気持ちを察したのか、また来るからねとさりげなく言い残し、病室を出て行きました。

そして次の日の夕方、彼は仕事の途中らしく、スーツ姿でまたお見舞いに来てくれました。

それからというもの、毎日毎日欠かすことなく平日は夕方、休日は午後にお見舞いに来てくれました。

私は「忙しいだろうし、暑いのに毎日お見舞いに来てくれなくてもいいんだよ」

と言うと彼は

「ちょうど、夕方ここを通るように毎日のスケジュールに組み込んでるから」と

軽く言うんです。

この時はまだ別に、彼とは付き合っていた訳ではありませんが、なんだかとってもあったかい気持ちになった事を覚えています。

 M-3

突然の交通事故で、意識不明のまま病院に担ぎ込まれた私でしたが、一命は取り留めたものの「心の傷」は癒えないまま、一ヵ月半が過ぎた頃。
手術をしたり、折れた腕のリハビリをしたりと辛い事が多かった入院生活でしたが、家族や彼、友人たちの励ましのお陰もあって、ようやく退院することが出来ました。

顔の傷も目立たなくなりかけていたし、腕もなんとか動くようになっていました。
そして退院して間もない或る日、彼に「付き合ってほしい」と告白されました。
彼の事を好きかどうかは、はっきりわかりませんでしたが、
こんなに献身的に私の事を見守ってくれるこの人なら、私を幸せにしてくれるかもしれないと思い、「Yes」と答えました。

それから、彼とのお付き合いが始まりました。

車に詳しくドライブが大好きな彼は、私を色々な所に連れて行ってくれました。
私が星空を見るのが大好きだと知って、彼はよく星の奇麗に見えるスポットを探しては、行く先も告げずに私を連れて行ってくれました。
ちょっと照れくさいけど、彼のそんなロマンチストなところは、嫌いじゃなかった。

そんなこんなで何か月かが過ぎてきたころ、以前からのワガママな性格に重ねて、周囲の気遣いに甘えた私は益々ワガママに振舞うようになっていました。
それに追い討ちを掛けるように、傷ついた顔の再手術を宣告され、
そのストレスから、彼に対して自分でも驚くほどの暴言ばかり言うようになっていました。
それでも彼は怒ることなく、いつもやさしく接してくれていたのですが、それが癇に障り、益々不満は募り、暴言はエスカレートしていました。

今思い返すと、私は本当に「サイテーな女」でした。

でも、彼はそんな私に不思議なくらいに優しかった・・・・・。ホント、不思議なくらい・・・。

 M-4

交通事故で受けた「様々な傷」のせいで、益々ワガママになった私。
それでも不思議なくらい優しく振舞う彼。付き合いだして一ヶ月が過ぎた頃、星空を見上げることが大好きな私を連れて、いつものようにドライブに出掛けた夜。

彼が、いままで行った事がない真っ暗な道に走り出したんです。

その何日か前に、雑誌に載っていた記事が頭をよぎりました。

彼に暴言ばかり言っていたワガママな女性が、ある日携帯も通じない山奥に置き去りにされたっていう復讐のエピソード・・・・・。

私もそれかぁ~・・・・!?(不思議なくらい優しかったのは、この日のためかぁ~!!)

彼の横顔が急に怖くなり、携帯の電波が入っているかどうか・・・?

そればっかりが気になって携帯を握りしめていました。

しばらく、真っ暗な道を走っていると、彼がいきなり何もない、ただただ真っ暗な道の途中で

車を停めたんです。

携帯の画面を除くと・・・・「圏外」!

やっぱり、私も置き去りぃ~!?どうしよう、なんて謝ったらいいの!?

って思っていた時・・・・・・、

彼が「ちょっと降りて上を見てごらん!」って言うんです。

わたしが恐る恐る上を見ると・・・

そこには、今まで見たどんな星空よりも美しい最高の満点の星空がありました。

凄く綺麗で、本当に降ってきそうなくらいの沢山の星が真っ暗な夜空に瞬いていたんです。

すると彼が「どう?最近君がいつもイライラしてて、でも理由もわからなくもなかったから、

どうにか君が喜ぶ顔が見たいと思って、星がきれいに見えるとこ探してたんだぁ」

彼のその言葉に、私は心底恥ずかしくなりました。
自分の事だけしか考えることができなくて、事故にあったあの日から、たくさんの友人や彼、家族が私を心配して支えてくれていたこと忘れてしまってたんです。

しかも、彼の優しい心遣いを疑って、置き去りされると思い込んだり・・・・。ホントにごめんなさい。

その日、付き合って初めて、彼に心の底から、「ありがとう」が言えました。

追伸:
ちなみに・・・、その彼とはその後も数ヶ月付き合いましたが、どうも「大好き」になれないまま、他にちょっと気になる男性が現れたのでお別れをしました。
彼は、今名古屋に転勤になったようで、正直「ホット」しております。
やっぱりワガママな私です。
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music list

1 Neo あまく危険な香り
2 Bonnie Pink なぐさみブルー
3 Bird 世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
4 松原みき 真夜中のドア
5 ポルノグラフィティ あなたがここにいたら