【わけ:あり】ナイトクルーザー|「呆れた言い訳」2008/2/28

【わけ:あり】ナイトクルーザー

2008/2/28:運命の女sce037-s.jpg 《運命の女》

 恋多き女を自認する彼女は、29歳。そこそこの証券会社勤務。
恋愛モードのピークには、一年で10人の男とつきあい、そのうちの一人と結婚を決めた。
25歳の春だった。「この人こそ、私の運命の人」と確信したらしい・・・がしかし、結婚式の直前に、新たな「運命の男」と出会い、結婚式をドタキャンしたツワモノだ。
その新しい「運命の男」とも、結局縁がなく、半年で別れた。

残されたのは、式場のキャンセル料やら婚約者への慰謝料など・・・膨大な借金だけ。

それ以来、結婚には慎重になっている。
というよりは、むしろ経済的に結婚なんか出来る状況ではない。
玉の輿の話でもあれば、別だが・・・・。
ただ、もともとが「恋多き女」なので・・・男が切れることは、ほとんどなかった。

まぁ29歳の女盛り、スタイルも悪くない。ルックスもまぁまぁ・・・、なので男うけは良い。

仕事がら、日常的に経営者や資産家と接する機会が多い。
しかし、そうした方々は当然のように年配の妻帯者で、多少のアプローチがあったとしても、それはあくまでも「お遊び」。
その辺をわきまえて、何人かと割り切ったお付き合いをしたこともあったが、けして本気の恋愛には発展しなかった。
それが、今度ばかりはまいった。・・・・

割り切ってると思ってた旦那系の彼が、どんどん本気モードにエスカレートしてきてる。

彼は、48歳の中堅企業の2代目社長。もちろん妻子ありだが・・・・、
奥さんと別れるとまで言う。
おいおい、そりゃ作法が違うだろう・・・。とも思ったが、・・・
そんなふうに本気で私のことを考えてくれる事は正直嬉しい。
彼女の気持ちも少しずつ彼に傾いていた。
来月の誕生日が来て、三十路を迎える。その前に、彼女は「確かなもの」が欲しかった。

三十路を目前にした恋多き29歳の彼女。
仕事柄、経営者や資産家と接する機会も多く、
そんなオジ様たちと割り切った付き合いをしてきた。
がしかし、割り切ってると思ってた妻子持ちの今の彼が、
どんどん本気モードにエスカレートしてきてる。
彼は、48歳。中堅企業の2代目社長。


先日のバレンタインデーには、ちょっとしたドラマがあった。

「バレンタインデー」という特別な日に、妻帯者である彼を夜遅くまで引き止めておくのは不味いだろうと考え、バレンタイン・イブの夜、一日早いバレンタインデーを二人で過ごした。

本当は、「私を本気で好きならバレンタイン当日に約束してよ。」と思ってたけど、

わざわざ波風立てて、この心地よい関係を壊したくない・・・。と考えてた。
今年は奮発して、ブランド系のかなり豪華なチョコをあげた。
そして、彼のために手料理も作り、家に招いた。

48歳の2代目社長である彼は、彼女の心遣いと思いやりにかなり感激した。
これまでも何人かの若い女の子と浮気をしたことはあったが、彼女ほど自分を気遣ってくれた女性はいなかった。妻でさえ・・・・。

そして当然のように、その夜二人は、かなり燃えた・・・・らしい。

そして、燃え尽きたベッドの中で、

「本気で妻とは別れる。結婚して欲しい。」と、いきなり彼からプロポーズされた。

ついに出たぞ!その一言!! そこから彼女の頭の中で、電卓が激しく音を立てた。

彼は、48歳。中堅企業の2代目社長。もちろん妻子あり。
結婚したのは、29歳の秋。両親に奨められた見合い結婚だった。
妻の実家は、地元でも知られた建設会社を経営。
一男一女をもうけ、長女は今年高校3年になる。
誰もが羨むような幸せな家庭・・・・だった。


だから、景気のいい頃は、小遣い目当ての若い女の子とも遊べた。
何人かと付き合っているうちに、ある一途な女の子と深い中になり、
「奥さんと別れて結婚して欲しい」とせがまれた。
これは不味い・・・と思い、その女の子とは距離を置くようになった。

しかし、その女の子が、ある日突然、我が家にやってきて、妻に
「旦那さんを私にください!別れてください!!」と泣きじゃくった。
それからが大変だった。まさに修羅場。

妻は逆上して取り乱し、親父には殴られ、お袋は卒倒した。・・・
挙句の果てに女の子の親まで出てくる始末・・・・
一件落着したと思った後も、子供たちから軽蔑の目で見られ、妻には無視され・・・・
こんなことなら、あの女の子と一緒になればよかった・・・と思うこともあった。


その事件から時間もだぶたったが、いまだに家では身の置き場がない。
更に悪いことに、不景気のあおりで会社もかなり厳しい経営状況だ。
そこで、一計を案じて「株」に手を出した。
その証券会社で、彼女に出逢った。株取引には多少の知識があったが、なにぶんにも素人。最初は、失敗ばかりしていた。そこで、彼女に相談したところ・・・

彼女が進める「株」がことごとく当たった。
彼女こそ「福の神」、「勝利の女神」だと思った。
そして、思い切って食事に誘ってみた・・・すると、その後はとんとん拍子にベッドまで。

彼女こそまさに「運命の女」・・・・彼はそう信じた。


三十路を目前にした恋多き29歳の彼女は、バレンタイン・イブの夜、
48歳で中堅企業の2代目社長の彼に、
「妻と別れるから、結婚して欲しい。」とプロポーズされた。
女として、そこまで言われては、悪い気がしない。
しかし、それ以上に彼女はやっぱり証券会社のOL。
彼と結婚した場合の収支について、あれこれと計算を始めた。



(彼女の心の声)

奥さんへの慰謝料は、だいたいこれくらいで、
二人の子供は奥さんが面倒見るとして、養育費が二人でアレくらい・・・
彼の収入は月額いくらだっけ?・・・・、少なく見積もってもこれくらい・・・
広い邸宅はローンもないし、車は3台だっけ?・・・その他に土地もある。
ムフフフ・・・うつむきながらも、思わず笑みがこぼれた。


「ホントに私たち結婚できるの?」彼女は笑いをこらえながら聞いた。

「君さえウンと言ってくれたら・・・」

彼女は、思わず彼に抱きついて「貴方が私の運命の男だったのね。」と言った。
彼も、力強く彼女を抱きしめて、

「何もかもなくしても、君となら、どんな苦労も乗り越えられる。」
「うん・・・・」
・・・・?ちょっと待って!・・・・「何もかも失くしても?苦労ってどうゆうこと??」

彼、曰く・・・
妻とは、もう別れるしかないんだ。妻の実家の建設会社が倒産してね。
僕も僕の親父も、その会社の保証人になっていて、
たぶん家も土地も、資産は全部もってかれる。
僕の会社も今はかなり厳しいから、君と一緒に株でなんとかしないとね。
高校3年の娘は、問題起こして保護観察中、中学3年の息子は不登校でひきこもり。
だから、僕が引き取るしかないんだ。

僕の両親は、二人とも寝たきりなんで「徘徊」する心配はない。安心して。
僕は、君と一からやり直したい。君だけが頼りだよ。・・・・

その瞬間、彼女の収支計画が音を立てて崩れた。
48歳、2代目社長の彼を部屋から叩き出して、彼女はつぶやいた。

「私は、貴方の「運命の女」なんかじゃない!」 どっちかって言うと「運の悪い女」かも・・・?

music list

1 Bruce Springsteen/Radio Nowhere
2 Justin Timberlake/What Goes Around…Comes Around
3 Daughtry/It's Not Over
4 Emily King/Walk in My Shoes
5 J.Moss/Praise On The Inside