2008/4/10:あれから16年

今日は、あるマダムの若かりし頃のお話です。
彼女は、現在42歳。今は15歳年上で資産家の旦那様と関東で幸せに暮らしている。
そんな彼女だが、20代の頃には身を焦がすような恋愛経験がある。
このお話は、彼女が大学4年生の秋から始まる。
大学4年の頃に、学生時代の思い出に・・・と、
ローカルTV局のアシスタントのオーディションを駄目モトで受けたところ・・・・
なんとマグレで採用された。とはいえ、その他大勢の一人だが・・・・。
それがきっかけで女子アナを目指す事になった。
彼と出会ったのは、そんな頃だった。
TV局アシスタントの先輩から、PRビデオのレポーターのバイトを紹介され、
バイト料に惹かれて引き受けた。
ディレクターは、30前後の妙に調子の良い「業界チック」な男だった。
TV局の人間ではなく、いわゆる制作プロダクションの人間だという。
初めて会ったはずなのに、やけに馴れ馴れしくて最初はひいたが、
話は結構面白いので、なんとなく憎めない感じがした。
それに、いざ現場で仕事になると、一変して厳しいディレクターだった。
なんとなく「プロ」の匂いがした。
彼女は、彼に少なからず興味を持った。
その仕事から1ヶ月が過ぎた頃、彼から突然電話があった。
例のPRビデオが完成したので、見て欲しいというので、週末に会う事になった。
ビデオを受け取り、食事をして話が盛り上がった事もあり、その後二人でお酒を飲んだ。
そして、その夜彼と初めてキスをした。
彼女が大学4年生、22歳の晩秋の事だった。
今から20年前、彼は、映像制作会社のディレクターだった。
仕事柄、女子大生とのパイプも太く、アルバイト・アシスタントやレポーターの手配にも
困らないくらいネットワークが行き届いていた。
あの時も突然の仕事で、急遽レポーターを手配する事になった。
正直、どんな女の子でも我慢するつもりだった。
手配を頼んだ女の子は、結構頼れる奴で、なんとかギリギリ間に合せてくれた。
がしかし・・・・その日、初めて出会った大学4年生の彼女には驚いた。
今時の女子大生にはない清楚な魅力にやられた。
思わずただの軟派な30親父になっていた。
仕事は仕事として、さっさと片付けて、彼女と再び会う口実を作った。
緻密な計画で、食事から、その後を段取った。
そして、目論んだとおりに事は運び、思惑どおり彼女を落としたが、彼も彼女に落ちた。
しかし困った事に、その当時彼には妻と二人の子供がいた。
いわゆる「不倫」・・・・と言う事になった。
平たく言うと、女子大生と子持ちの30男・・・・という構図になるが・・・・
バブル末期の当時、それはごく普通に「ありがちな関係」だった。
そうこうしているうちに、卒業間近で就職先に困っていた彼女に、青森のTV局から契約アナウンサーの話が舞い込んだ。
けして彼が働き掛けた訳ではなかったが、彼女はその話に乗った。
彼と彼女は思いがけず、局アナと制作会社ディレクターの「禁断のカップル」になってしまった。
そのとき二人は、これからはじまる苦難の道は予想できなかった。
大学卒業を目前に、就職活動に苦戦していた彼女は、契約社員ながらも青森のTV局のアナウンサーという話に飛びついた。
条件もそれほど悪くはないし、彼との接点も多く、なによりつぶしが利く。
彼とは多少距離があるけど、お互い仕事があるから月に1~2回会えれば充分だと思った。
TV局近くのアパートを借り、仕事最優先の社会人生活が始まった。
しかし、彼女は仕事第一と考えていても、回りの男達は違った。
先輩アナウンサーやディレクター、更には営業部長から役員まで、
毎日のように食事や飲み会に誘われた。
契約アナウンサーという意味が、そのときようやく理解できた。
その当時のTV局では、女子アナを「女」としか見ていなかった。
女子アナの先輩に聞いたところ、その局の女子アナは長くて5年、短くて1年だという。
更に先輩は、何人かの要注意人物を教えてくれた。
しかし困った事に、その要注意人物の一人が、担当番組のディレクターだった。
ある日、打ち上げの帰りにその要注意ディレクターに飲みに誘われた。
嫌な予感がしたが、お酒だけなら・・・と誘いに乗ったところ、ホテルのバーだった。
こりゃ、ちょいヤバイな・・・・と思ってたら、案の定、口説きが始まった。
その当時は、携帯電話などない時代で、即効で彼にSOSを送れる状況じゃなかったが、
その店から彼に電話はできた。
隙を見て彼に「今、かなり危ない状況なの・・・」と電話したら、電話の向こうで彼が「分かった」と一言言って直ぐに電話が切れた。
どう分かったのか?不安だったが、とりあえずその要注意ディレクターの口説きを
のらりくらりと交わして1時間半・・・・。
もう限界・・・と思ったところに、彼が現れた。
「やぁ、偶然だねぇ~」って彼・・・・そのセリフずっと考えてきたんでしょうけど・・・
かなり不自然だったよ。
盛岡から青森まで1時間半は、早すぎだろう・・・と思ったけど、彼の気持ちが嬉しかった。
そのときはまだ不倫だったけどね・・・。
彼女が青森のTV局で契約アナウンサーになって3年目、
彼と奥さんの離婚がようやくきまった。
それを機会に、TV局を辞めて盛岡で一緒に暮らすことを決めた。
局アナに未練はなかった。
むしろ、彼の会社や彼の仲間達との仕事の方が魅力的だった。
それに彼と一緒に暮らせる事が一番嬉しかった。
二人で部屋を探し、二人で車を選んだ。
嗚呼、これが幸せなのかと思った。
しかし・・・・
幸せは長くは続かなかった。彼には、彼女のほかに「女」がいた。
二人の部屋なのに、彼は1週間に2日しかいなかった。
「二人で暮らしているはずなのに、何故、いつもいないの?」とたずねると
「今、仕事が忙しくてほとんど会社にいる」とか「出張」とか言い訳する。
本当の事が知りたくて、彼の会社の人に率直に尋ねた。
すると・・・・やっぱり女がいるらしい。
しかも、別れた奥さんと別の彼女と三人同時進行だったらしい。
そりゃ、離婚にもなるよ。
その瞬間、一気に熱が冷めた。
「別れよう」・・・・そう決めた。
彼は、思いがけない彼女の決断にうろたえたが、彼女の決意は固かった。
しかし、20代の大切な時間をともにした彼の事はそう間単には忘れられない。
別れたとはいえ、時々は電話したり、食事を一緒にしたりした。
もしかして・・・・モトサヤになるかな?とも思った時期もあった。
だが・・・・彼女が試しに、公務員の男性から交際を申し込まれた事を彼に相談したとき、
「付き合えばいいじゃないか。これで俺も安心だ。」とあっさり彼に言われたとき、この街を離れる決心がついた。
やがて彼女は、一人東京へ行き、彼は一人この街に残された。
あれから16年・・・・。彼女は今、東京の空のした、15歳年上の旦那様と幸せらしい。
あれから16年・・・・。彼は、・・・・・どうしているのだろう・・・・。
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