【わけ:あり】ナイトクルーザー|「高校新米教師 ~純情編~」2008/6/5

【わけ:あり】ナイトクルーザー

2008/6/5:高校新米教師 ~純情編~
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《高校新米教師 ~純情編~》
今の世の中、呆れた出来事、物騒な事件は、枚挙に暇がありませんね。
特に教職にある教師、教諭の破廉恥な事件は、目を覆いたくなるほど・・・。
しかし、教師がみんな、あんな事件を起こすわけではなく、尊敬すべき立派な先生も沢山います。
そんな中に、純愛を貫いた愛すべき教師もいました。
教師と生徒の禁断の愛・・・・・。
報われることの無い愛の形に見えますが・・・・果たして・・・・。

その当時、彼はようやく採用試験に合格したばかりの新米教師だった。
大学4年の夏、1回目の教員採用試験は、見事に落とされた。
4年間の大学生活を怠惰に過ごしたしっぺ返しだと深く反省した。
その後の一年間、がむしゃらに勉強した。どうしても教師になりたいと思った。
昔は、両親が教師だから・・・という程度の気持ちで、教師になろうと考えてたが、その時は、心の底から「俺の仕事は、教師しかない。」と信じていた。
遊びの誘いは一切断って、1年間浪人して、2度目の教員採用試験で、なんとか合格した。
社会科の教師として、実家から遠い沿岸の高校に赴任した。23歳になっていた。
しかし、世間的には、まだ23歳。世間知らずの若造でしかなかった。
それでも、生徒の可能性を支える熱血教師の理想に燃えていた。

赴任先の高校は普通科のみの高校で、新米の彼は1年生の副担任も任された。
生徒達と年齢が近いせいもあってか・・・、それとも彼のキャラクターなのか・・・・、着任して間もなく彼は、生徒達の兄貴的な存在として、生徒からも慕われ、
先輩教師達からも可愛がられた。
副担任になった1年生のクラスには、目立つ生徒も4・5人いたが、比較的穏やかな生徒が揃っていた。
その中に、ひときわ大きな瞳の背の高い女子生徒がいた。
高校1年生にしては、落ち着いて物静かだが、不思議な存在感を持っていた。
彼は、その女子生徒がとても気になった。
思えば、それが新米教師だった彼と高校1年生だった彼女との、運命の出会いだった。

新米教師だった彼の宿舎は、高校近くの高台で、海を見下ろせる場所にあった。
内陸育ちの彼は、教師になるまで海の見える場所で暮らした事はなく、初めての海岸暮らしは、何もかもが新鮮で心が弾んだ。
近所のおばさんの賄い付きだったので、朝晩には活きの良い魚介類が食卓に並んだ。
それがまた、毎日の楽しみにもなっていた。
時には、生徒の父兄が獲れたての魚を差し入れてくれたりもした。
お陰で、魚のさばき方も上手くなった。

ところが・・・・そろそろ1学期が、何事もなく終わろうとしていた7月。
彼の宿舎の賄いをしてくれたおばさんが、病気で入院することになった。
当分、自炊を余儀なくされた。まぁ、魚のさばき方も覚えたし、何とかなるだろう・・・。
そう思っていたが、新米とはいえ一人前の教師。徐々に仕事も増えていた。
学校の仕事を終えて、宿舎に帰る時間も遅くなっていた。時には深夜にもなった。
夜9時過ぎに宿舎に帰り、それから自炊・・・・というのは、かなり辛かった。
なんとか夏休みに入るまでは・・・と頑張ったが、宿舎に帰って晩酌をしてダウン・・・
という日々が続いた。

夏休みまで後一週間・・・・という頃。
いつものように夜9時過ぎに宿舎ると部屋に明かりがついていた。
賄いのおばさんが退院したのか?と勢いよく部屋に入ると・・・
彼が副担任するクラスのあの大きな瞳の女子生徒が笑顔で彼を迎えた。
聞けば、入院中のおばさんの姪なのだという。
「先生、晩御飯も食べないでお酒ばっかり飲んでるんでしょう。身体に悪いよ。」と彼女に叱られた。

まともな食事も取らずにやつれていく彼を見るに見かねて、押しかけたという。
その時、彼はまだ23歳の新米教師。彼女は、16歳の高校1年生。
純粋に教師と生徒の関係でしかなかった。

月日は流れ、彼が沿岸の高校に新米教師として赴任して3年目。
彼はまだまだ未熟ながらも、26歳の社会科教師。
最初に受け持ったクラスと共に、3年生の副担任となっていた。
大きな瞳の彼女は、1年生のときからの存在感を更に増して、その責任感の強さから生徒会の役員にも選ばれていた。

そろそろ3年生も本格的に進路を決めようとする6月。忌まわしい出来事があった。
季節外れの大荒れの天気の中、操業していた漁船が転覆した。
漁船には、父親と高校生の息子が乗っていた。
その高校生は、彼が受け持つクラスの男子生徒だった。
第一報を受けて彼は、真っ先に大雨の中、校長や教頭達と一緒に漁協に張り付いた。
懸命の捜索にもかかわらず、親子は消息不明のまま一夜が開け、翌朝、無残な二人の遺体が見つかった。
亡くなった男子生徒は、卒業後には漁協に入って漁業を継ぐときめていたのに・・・・。

お葬式にはクラス全員が出席し、彼の無念を悔やんで泣いた。
その夜彼は、救助活動にも出れず、ただ連絡を待っていただけの無力な自分を恥じた。
一人宿舎で酒を飲んで泣いた。泣く事しかできなかった・・・。
そこに突然、大きな瞳の彼女が、肴を持ってやってきた。
何か大きな覚悟を秘めた眼差しで、彼の前に座った。
泣きはらした彼の目をじっと見つめて、彼女は腹を決めて口を開いた。

「私、先生の事が好きです。・・・・・ホントに好きです。
元気だった幼馴染みのあいつでもこうなった・・・・・、人はいつ死ぬか分からない。
だから私は、今の自分に正直に生きようと決めたんです。」
そう言い切って、彼女は彼に抱きついた。
彼が26歳、彼女が18歳の6月。
その日から二人の恋は歩み始めた。

彼女が高校3年の夏休み。
3年生の副担任である彼は、夏休みにもかかわらず連日学校で補習授業。
宿舎に帰ってからは、看護士を目指す彼女の個人指導に時間をかけた。
二人は、何も恥ずかしい事をしているつもりはなかったが、お互いの立場を考えてできるだけ人目を避けて、密やかに愛を育んでいた。

ただ・・彼は、同僚の教師達からの飲み会の誘いも素っ気無く断るので、なんとかく勘ぐる同僚も中にはいた。
夏休みが終わって二学期に入ると、生徒のあいだに二人の噂が広まった。
「破廉恥教師と淫乱女子高生」・・・心無い噂に少なからず彼女は傷ついた。
それでも、彼女は自分の気持ちに正直であることに誇りを持っていた。
誰に恥じることも無いという信念は揺るがなかった。
彼とて同じ想いだった。

噂に尾ひれはひれがついて、挙句父兄にまで広まったところで、二人揃って校長と教頭に呼ばれ、噂の真偽をきつく問われた。
そこで二人ははっきりと言い切った。

「僕達は愛し合っています。彼女が卒業したら結婚します。僕達を祝って下さい。」
彼の言葉と彼女の笑顔に校長と教頭は、あっけにとられたが・・・・、廊下から大きな拍手と歓声が沸き起こった。
彼女が18歳の高校3年生、彼が27歳の誕生日を迎えた日でもあった。

やがて二人はその誓いどおりに結婚し、
そのおとぎ話のような純愛物語は、その高校の伝説となって語り継がれている。

music list

1.JUJU/Live! Together
2.センチメンタル・シティロマンス/うん、と僕は
3.Bonnei Pink/Ring a Bell
4.Clystal Key/涙のさきに
5.青山テルマ/One Way