2008/6/12:「困った女」はバブルの申し子

《「困った女」はバブルの申し子》
今からさかのぼること20年前、バブル末期の危うげな時代にどうにも堪え性がないというか、自制心がない・・というか、欲しいと思ったものは、必ず手に入れないと気がすまない「困った女」が、仲間内に必ず一人や二人はいたものです。
今日は、そんな懐かしいバブリーな困った女のお話です。
今から20数年前のバブル期は、形の無いものに無理やり値段をつけてその価値観を競い合う妙な時代でもあった。
誰もがブランド物や高級車を求め、その高い買い物を自慢する・・・・なんとも不思議な時代だった。
そんな時代だったから、女の子も売り手市場で、「ちょっと良い女」というだけで、男達からもてはやされた。
彼女もそんな「ちょっと良い女」の一人だった。
顔とスタイルに少々自信があったので、派手なファッションもそこそこ似合っていた。
そしてブランド物で身を固め、普通のサラリーマンには「ちょっと無理めの女」を装った。
勤めていた建設会社は、好景気で儲かっていて給料も高く、ボーナスも高額。
だから自分でお気に入りのブランド・バッグも買えたし、高級腕時計もローンで買えた。
そして、彼女を気に入った男達は、競って高級ブランド品をプレゼントした。
特に彼女を競っていたのは3人。
20代の新米のお医者さんと30代の不動産会社の社長、そして彼女が勤める会社の常務さん。
不倫も、二股も、何でもありの時代で、食事に誘われてそのままお泊り・・・するだけで欲しかったブランド物を軽くプレゼントしてくれた。
更に3人とも、一回泊っただけで彼女にのぼせ上がった。
彼女がまだ22歳、イケイケのバブリーOLの頃だった。
しかし、やがて間もなくバブルは、・・・・・弾けた。
バブル当時、経済的に豊かな3人の男から欲しいものを欲しいままにプレゼントされたバブリーな彼女だったが、ただのバカ娘ではなかった。
例えば・・・、3人の男達それぞれに 「カルチェの3連リングが欲しいの・・・・」というと・・・
3人ともカルチェの3連を彼女にプレゼントしてくれた。
だから、1個は自分で使い、残りの2個は質屋に入れるか、友人に売った。
同じようにブランド・バッグもお気に入り以外やダブりは、転売し、そのお金を小遣いにした。
今思えば、バブルの崩壊を事前に察知していたような小賢しさだ。
多少、普通のOLよりも給料は高くても、美しく目立つためには、それなりにお金も掛ったし、目立つ場所に出掛けるときもお金は掛った。
そして、バブル末期の夏、彼女を競う3人とは別に、彼女には本命の彼氏が現れた。
地元に美容院を3軒経営する30代の美容師で、職業とは裏腹に硬派の彼氏だった。
しかし、真面目で仕事熱心だったので、毎日忙しくなかなかデートも出来なかった。
だから、彼氏と会えない時に3人と順番にデートした。
彼女にしてみれば、時間を有効に活用し、合理的に3人のお相手をしたつもりだったが、彼女が複数の男と付き合っているという噂は、あっという間に本命の彼氏に届いた。
なにしろ彼女は常に派手なので出立つし、本命の彼氏の美容院のスタッフからも妬まれていたから、悪い噂は早かった。
彼に責められて彼女は心を改めたらしく、3人のリッチな男達との関係を泣く泣く断ち切った。
その直後にバブル弾け、日本は一気に不景気に陥った。
彼女が23歳の夏だった。
バブルが弾けたとはいえ、彼女が勤める会社は地元でも大手だったので、営業成績は伸び悩んだが、表立っては大きな変化はなかった。
3人のリッチな男達との関係を清算した彼女はその後、美容院を経営する彼氏と良好な関係を築こうと彼女なりに努力した。
しかし、しれはやっぱり少し間違っていた。
彼氏のためにも綺麗でいようと、相変わらずブランド物の洋服を買い集め、彼氏を送り迎えするために高級車を乗り換え続けた。
しかしその冬、ボーナスの支給日に、明細を見て愕然とした。
一昨年の支給額から一桁足りない。数万円・・・・という金額に目を疑った。
信じられなかったので上司に、「この金額、間違ってませんか?」と聞いてみたら・・・
「俺は、お前以上に悲惨だ!」と怒鳴られた。
彼女は困った。何が困ったって・・・・ローンの支払いが足りない・・・・。
ボーナスを当てにして、服を買った。車も乗り換えた。それに、あれもこれも・・・・。
新しい服や車を彼に見てもらうたびに、彼は「そんな高いの買って大丈夫か?」と聞かれたが、
「うちの会社、結構給料もボーナスも高いのよ。」と言い訳してきた。
確かに一昨年まではそれなりの金額だった。しかし、今年のこの金額では・・・・・。どうしよう・・・・。
やがて彼女は、お金は借りることが出来る・・・・という方法を思いついた。
「借金も財産のうちよ。」と思い切って、彼女は消費者ローンのドアを開いた。
彼女が24歳の冬のことだった。
バブル崩壊後の不景気で、会社の業績も悪化し、その冬のボーナスが激減した彼女は、溜まりに溜まったローンの支払いのために思い切って消費者ローンのドアを開いた。
その当時は、信じられないくらい簡単にお金が借りられた。
まずは、その冬のローンの支払いのためだけにお金を借りて、急場をしのいだ。
彼氏から、「ボーナスが減ってローンの支払いも大変だろう・・・」と心配されたが、
「大丈夫。両親に相談して何とかなったから。」と嘘をついた。
ここまでなんとか彼との付き合いも続いてきた。
そろそろ彼も「結婚」を考えてくれる頃だろう・・・。と確信に近い期待も持っていた。
ここを切り抜ければ、後は結婚して二人で何とかできる・・・・。そう信じていた。
しかし、彼との結婚を夢見ながらも、彼女の浪費は続いた。
消費者ローンの借り入れも、1件で50万円。2件で100万円。3件で・・・・・と、彼女の借金はどんどん膨らんだ。
しかも、高い利子の借金で、今度は月々の支払いまで苦しくなってきた。
支払いが遅れると会社まで催促の電話が来た。
ある日、借金の取立てが会社までやってきて大騒ぎになり、ついに彼女は会社にいられなくなった。
会社を辞めるほどの騒動になって、両親も慌てた。
借金は、両親が肩代わりして落ち着いたが、今度は硬派の彼氏は激怒した。
「俺に嘘をついてまで、派手な暮らしがしたいのなら、もうおしまいだ!」
そう言い捨てて彼は彼女から去っていった。
それは、彼女が25歳の6月の事だった。
やがて月日は流れ、彼女は今42歳。3年前に25歳年上の資産家の後妻に入った。
相変わらず派手に着飾り、今流行の「40ビューティ」を気取っている。
「困った女」は、案外渋太い・・・・。
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