2008/7/10:シングル・マザー物語~其の壱~

《シングル・マザー物語~其の壱~》
はからずもシングル・マザーになったけど、それでも強く明るく逞しく生きる女性ってやっぱり素敵ですよね。
貴方の近くにもそんなシングルマザー、いませんか?
今日は、思いがけず波乱に満ちた結婚と離婚、そして激変する仕事環境の中を細腕一本で生き抜く愛すべきシングルマザーのお話です。
彼女は今、バツイチ・子供一人。県内屈指のホテルの営業ウーマン。
働く女の鏡のような「強い女」と周りから評価されていた。
しかも、ホテルマンらしく常に笑顔を絶やさない、本当に素敵な女性だ。
もちろん仕事も出来る。
大企業の社長であろうが、政治家だろうが、物怖じしない度胸もある。
同僚や後輩達からも慕われるハンサム・ウーマンといったところ。
そんな彼女だから、若いときから元気で、明るく誰からも好感をもたれる人気者だった。
だから彼女が結婚すると決まったとき、彼女に結婚を決断させた男って、どんなに凄い男なのだろう・・・・と皆一様に興味を持った。
しかし・・・・、これが「礼儀知らずの軟弱な男」と噂される「ショーモナイ男」だった。
彼女と付き合いの長い地元企業の社長さん達は、「おい、本当にあの男でいいのか?」
「あの男だけは辞めとけ!」「考え直せ。」と言った。
みんな彼女のためを思ってそう言った。
「彼なら大丈夫」とは、残念ながら誰も言わなかった。
それでも彼女は、二人きりのときに見せる彼の優しさに心から幸せを感じていた。
まぁ、彼女が決めた男なら・・・・、いつかは変わるだろう。
きっと彼女が彼を変えてくれるだろう・・・と、みな認めざるおえなかった。
彼と彼女の結婚式は、ホテルマンの彼女らしい素敵なものだった。
彼女には幸せになって欲しい。式に出席した誰もがそう願っていた。
しかし・・・・案の定、結婚後わずか1年半、出産後半年で、二人は破局した。
ホテルの敏腕な女性営業マンの彼女と離婚した彼にも、それなりの事情があった。
大学を卒業後、広告会社に就職したくて東京の大手広告会社を受けまくったが、結局中規模の広告会社しか受からなかった。
その会社で2年働いた後、故郷の地元広告会社に親戚のコネで移る事が出来た。
しかし、その会社の得意先は、地元企業が中心で、広告会社の営業マンとはいえ、毎日の仕事は御用聞きのように社長様方のご機嫌伺い。
そしてお付き合いのゴルフ、マージャン、お酒・・・という塩梅。
理想と現実のギャップで、心も身体も少々すさんでいった。
時には、酔った勢いで得意先のお偉いさんにタメ口をきいたり、
接待を忘れてゴルフやマージャンで真剣に勝ちまくった事もあった。
このあたりでかなり評判を落としたらしい。
その後仕事が減り、社内でもくすぶっていた。
そんな時、思いがけず、地元ホテルを会場にしたパーティ・イベントを任された。
そこで窓口になったのが、彼女だった。
久々の仕事らしい仕事に、彼は全力で取り組んだ。
ホテル側の彼女の細やかな協力もあって、そのパーティ・イベントは大成功した。
その達成感を共有した彼と彼女は、その夜・・・・達成しちゃった・・・・らしい。
それまで仕事一筋だった彼女は、恋愛経験も男性経験も少なく、彼の自然な所作や優しさにすっかりと心を奪われた。「結婚するしかない・・・・」
彼女は、そう思い込んでしまった。
しかし、彼には別の一面があった事を、その時彼女は知る由も無かった。
ホテルの女性営業マンの彼女と広告会社勤務の彼の新婚生活は、極めて穏やかで幸福だった。
結婚後3ヶ月で彼女は妊娠した。家族や仲間達は心から祝福し、無事の出産を願った。
彼も最初は彼女を気遣い、家の様々を手伝ってくれたが、しだいに「仕事が忙しいから・・・」と、帰りが遅くなったり、出張が多くなった。
顔の広い彼女は、それとなく広告関係の仲間に彼の最近の様子を相談してみた。
すると、頻繁に出張するような状況でも、夜遅くまで仕事に追われる状況でもないらしい。
ははぁ~、「女だな・・・」と彼女は思ったそうだ。
しかし、妻が妊娠中に旦那が浮気に走る・・・という傾向は、ままあるらしい。
多少の浮気ぐらい、詫びる気持ちがあるなら許してやってもいいか・・・。
それもこれも、まずは無事に出産してから決着をつけよう。
その時は、彼女もその程度の気持ちでいた。
結婚1年目に彼女は、無事に男の子を出産した。
それから子育ての戦いの日々が始まったが、彼の深夜帰宅や外泊は収まる気配がない。
子育てのストレスもあって、ある日彼女はヒステリックに彼を問い詰めた。
「会社に確認したら、出張するような仕事も深夜までの仕事もないらしいじゃない。」
「外に女がいるんでしょう!? 正直に言いなさいよ!」
すると彼は・・・・
「嘘をついてたのは謝るけど、女なんかいないよ・・・ ただ・・・」
「ただ、なによ?!」
「ごめん。俺には『彼』がいるんだ・・・」「俺、彼を愛してるんだよ。」
『彼』がいる・・・・という言葉に、彼女の顔から血の気が引いた。
「彼」を愛してるというその言葉に、ただ・・・・呆れた。
彼は、両刀使いの・・・『ゲイ』だった。
広告会社勤務の彼が、『ゲイ』だと知らされて、彼女は悩んだ。
しかし、彼は今付き合っている男性と別れるつもりはないらしい。
それならば・・・・と、彼女は結婚後まだ1年半で、長男が生まれたばかりだったが、
きっぱりと離婚しよう、と決めた。彼も当然同意した。
それから彼女のシングルマザー生活が始まった。
両親の助けもあって、子育てと仕事の両立はまずまず上手くいっていた。
気を抜けない生活のせいか、仕事にも集中できて会社での存在感は以前にも増していった。
地元屈指のホテルの敏腕女性営業マンとして、彼女は確実に実績を積んでいった。
その頃には、もうホテルの顔にさえなっていた。
しかし・・・不況の波は容赦なく地方経済を巻き込んでいった。
彼女が勤めるホテルも、その波に飲み込まれ、会社ごと身売りする事になった。
非情にも信頼する取締役達は、全員追放された。が、現場の社員達は全員残された。
ホッとするのもつかの間、新しい幹部からいきなり呼び出され、ホテル・グループが関連するリゾート施設への異動を命じられた。
驚いた事に、支配人への大抜擢だった。
新しい経営陣にまで彼女の評判は届いていたらしい。
しかも、その頃長男に喘息の兆候があったので、自然豊かなリゾート施設への異動は願ったりかなったりだった。
旦那だった『ゲイ』の彼は、仙台の会社に移ったと連絡があったが、その後は音信不通だ。
今は、今年4歳になる長男と二人、山小屋暮らし。
リゾート施設の営業はイマイチだが、これからじっくりと盛り返そう・・・・と開き直った。
敏腕で楽天的な女性営業マンの彼女は、今、ようやく一段落ついた・・・と、先日、手紙で知らせてくれた。
頑張れ!シングル・マザー達!!
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