2008/7/24:海の家をめぐるエトセトラ

《海の家をめぐるエトセトラ》
いよいよ夏休み!
まさしく恋の季節の始まりですね。
でも、夏の恋は、熱しやすく冷めやすい・・・などとも言われますが・・・・
とある砂浜の海岸にちょっと風変わりな「海の家」がありまして、
そこで毎年、様々な男と女の恋物語をが生まれては消えているみたいです。
今日は、そんな『海の家』でのお話です。
その海水浴場は、長く続く砂浜と優しい波が評判で、毎年沢山の海水浴客で賑っている。
そのにぎやかな海岸の片隅にその海の家はある。
海の家といっても、作りは洋風で、料理のメニューも洒落ていて今時の連中にも人気がある。
どこかアイランド・リゾート風の佇まいと気難しいオーナーのこだわりから一癖ありそうな人間がやたらと集まってくる。
一組目のカップルは、ちょっと濃い・・・・と言うより酒が入るとかなりくどい二人だ。
男は、40代後半、一昔前の「チョイ悪系」を今に引きずる、危ないオヤジ。
それでも、笑いのセンスは心得ていて、仲間内には受けが良い。
車は中古のポルシェで、サングラスもポルシェ・・・・。
しかし、酒はいつも芋焼酎・・・・そのあたりが、どうも憎めない。
女は、自称30代。しかしどう見ても40代の「お水」。いつも香水プンプンでかなりきつい!
海水浴に来てるのに水着にならない・・・と言う事は、たぶん年齢を自覚しているんだろう。
だけど、時折見せる笑顔は、どこか有名女優のようで、確かに良い女だ。
お酒が入る前の二人は、それはそれはお洒落な「大人のカップル」なのだが・・・
ビールに始まり、カクテルから焼酎、やがて冷酒へと進むにつれ、毎回大変な醜態をさらす事になる。
どうやら、ふたりとも相当ストレスを抱えているようだ。
先日は、ついにつかみ合いの喧嘩になり、店から追い出されたが、その後、ビーチパラソルの下で抱き合って眠ってた。
悪い奴らじゃないんだが・・・・と、気難しいオーナーもお手上げ。
ある意味、この海の家の名物カップルでもある。
その海の家に来る若いカップルにも、いくつかのパターンはある。
そのカップルは、いわゆる「レゲエ系」のカップルで、とにかく暑苦しい。
20代の前半らしい女の子は、綺麗な目鼻立ちで、一見グラビア系かと思えるほどの抜群のスタイルなのだが、頭はドレッドでかなりのボリューム。
方や男の子は、彼女よりは年上らしく先輩風の口ぶりだが、どうみても20代後半。
真っ黒に日焼けした顔と身体は、どうにも不自然で、どうやら「サロン系」の焼け方だ。
AV男優かよ!・・・と突っ込みたかったが、立場をわきまえて止めた。
そして男の方も、頭はドレッド・・・・本当に暑苦しい。
ここはジャマイカじゃないだろう!
さらにうっとうしい事に、この二人がラブラブの無法地帯・・・。
人目もはばからずキスするは、ハグするは・・・・暑苦しいったらありゃしない!!
そのうち、収まるだろうと、そこにいた誰もがじっと我慢していたが、ラブラブなバカップルの振る舞いは、更にエスカレートしていった。
おいおい、ここで始めるんじゃないだろうな・・・・?
と、みんなのイライラが頂点に達したときだった。
対外の事には口を挟まない変わり者のオーナーも、流石にそのときばかりは切れて、おもむろにホースを握って、二人に水をぶっ掛けた。
「さかりの着いた猫には水だろう」オーナーはそう言って、ホースを振り回した。
バカップルは、服がぬれたの、どうの・・・と文句言ったが、みんなで、「お前ら海に何しに来たんだ!」
と言ったら、すごすごと帰っていった。
ラブラブも度を越すと、はた迷惑・・・・・という典型だ。
その海の家には、いくつかの掟がある。
その一つに、「かっこよくあるべし」という一条がある。
それはきっと、気難しいオーナー自らが心に決めた事なのだろう。
しかし、なかなかカッコイイ男とか、女は少ないものだ。
でも、ときどきカッコイイと思える人がその海の家には集まってきた。
名前も知らない夕方5時のオジサンは、気難しいオーナーが唯一頭を下げる人で、私的にはかなりイケテルおじさんで、本当にカッコイイと思った。
毎週土曜日の夕方5時過ぎに、大型の四駆で浜辺に乗り付けるような
一見嫌味なオヤジだけど、なんだかとってもセクシーなの。
オーナーの話だと60過ぎのお医者さんらしいけど、とても60過ぎには見えない!
しかも、可愛いゴールデンレトリバーと一緒にやってきて、海に着くと、まず最初に犬と一緒に海で泳ぐ・・・・。しかも本格的に泳ぐ・・・。
それから、おもむろに海の家のデッキでビールを2杯立て続けに飲んで、その後、毎回持参するシングルモルトのウィスキーをロックで飲む。
ここのオーナーと二人で海を眺めながら美味しそうにオンザロックを飲む彼の表情が、物凄く素敵だと思った。
私には、到底入り込めない大人の男達の時間だと感じるし、そんな二人と愛犬のいる風景を本当にカッコイイと思う。
やがて日が暮れて、夜の浜辺に人影もなくなる頃、いい加減に酔っ払った夕方5時のおじさんの部下のような「お迎えの人」が来て、おじさんとワンコと車を連れて帰ってゆく。
ちょっと謎めいた夕方5時のおじさんに、私、かなり惹かれてる。
夏の海といえば、やっぱりマリンスポーツ。
なかでもジェットスキー、水上バイクはマリンスポーツの花でしょう。
彼と彼女が出会ったのも、ジェットスキーがきっかけだった。
しかも、あの海の家でのこと・・・・
内陸育ちの彼女は、その当時マリンスポーツには縁のない生活だった。
一年に2・3回、海水浴に来る程度の普通の女の子。
あの日、たまたま洒落た海の家に、女友達3人で初めて入った。
他にはない雰囲気の海の家で、友達と一緒にテンションが上がった。
そこに軟派してきたのが、ジェットスキーをやってる彼の友達だった。
それまでジェットスキーなんて乗ったこともない女の子達だったから、誘われたらやっぱり好奇心が沸いた。乗ってみたいと思った。
男の子が運転するその後に乗っているだけでも楽しかった。本当に面白かった。
軟派してきた男の子にはあんまり興味わかなかったけど、そのジェットの男達の中でも特に物静かな彼がちょっと気になった。
他の男達とは少し囲気が違う・・・。
勇気を出して彼に近づき、どうしたら自分も操縦できるようになれるのか?と聞いてみた。
彼は思いがけない笑顔で、免許を取れば誰でも自由にジェットに乗れる、と教えてくれた。
その後、なんとなく彼と連絡を取るようになって、ジェットについて学習した。
彼に教わりながら、猛勉強して一発で船舶2級の免許を取れた。
免許を取ってから初めて海でジェットに乗った。
借り物だったけど、初めて操縦したジェットは、海の上を自由に走り回るイルカに乗った気分だった。翼を得た鳥のような感覚だった。
今までに感じた事のない開放感に、なぜか涙が止まらなかった。
こんな素敵な感覚を教えてくれた彼に、心から感謝した。
そして、そんな彼との出会いを作ってくれた、あの「海の家」こそ彼女の「はじまりの場所」だと思えた。
とある海岸のちょっと変わった海の家で、今年の夏もまた様々な物語が生まれるのでしょうね。
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