2008/8/7:「白衣の天使」だって一人の女

《「白衣の天使」だって一人の女》
最近は、お医者さんや看護士さんが不足していて大変だ、とよく聞きます。
医療関係のお仕事はかなりの重労働で、勤務時間も長いとか・・・。
そんな大変な毎日を送る看護士さんたちも、もちろん恋をします。
でも、やっぱり出会いの場は限られるようで、その恋愛事情も様々。
そんな中で、今日はとある看護士さんのお話を聞いてください。
彼女は、26歳の看護士。
これまで様々な男と恋をしたが、いつも肝心なところで、駄目にしてきた。
人の命に係る仕事には、正直誇りを持っているし、責任感も強く感じている。
しかし、その代わり精神的なストレスも多い事は確かだ。
だから、せっかくの休みの日に彼氏といる時間を絶対に大事にしたいと思ってる。
なのに、この間久々に会った彼に、ちょっとした言葉尻を捕まえて、いつまでもグチグチ言われた。
いい加減頭にきたんで、「だったら別れましょう。」と言い返したら、手のひらを返して、「そういう意味じゃない・・・」ってアンタ!どういう意味よ!!
その上、そのケンカ以来「ごめんよ。やり直そう。」って、毎日メールしてきて、最後はストーカーのように付きまとわれた。
そういうことが、私達の仕事にとって一番迷惑だということが、何で分かってくれないんだろう。
本気で私の事を大切に思ってくれるなら、私の仕事を理解してくれて、仕事のシフトにあわせて、私との時間を作ってくれればいいのに・・・・。
何も無理してくれなくて良いの。
時間が出来たら私から会いに行くから・・・、って言ったじゃない。
彼に幻滅した今となっては、この想いもむなしいだけね。
そもそも彼は、私好みで、出逢った頃はとっても優しくて楽しい人だった。
彼をあんなふうにしたのは、もしかすると私のせい・・・・?
彼が会いたいと思ったときに、私は仕事で会いにいけなかった。
だから、久々に私と会うと、文句を言いたくなったんだろうな・・・・
でも、もう駄目。私の方から「別れましょう。」と言ったんだもの・・・。
看護士になりたての頃は、恋愛どころの騒ぎじゃなかった。
最初の3年間は、そりゃもう仕事を覚えるのに無我夢中!
大きな病院勤務だったので、交代制の勤務で生活は一変した。
夜勤の翌日は、ただただ眠った。眠る事だけが救いだった。
ようやくこの仕事に慣れたのが、3年目を過ぎたあたりだったろうか・・・。
若いドクターに憧れた。恋愛感情というより、彼の頼もしさに魅かれたのかもしれない。
勤務明けに一緒に食事をするようになり、自然と男と女の関係になった。
よくある職場恋愛・・・ってパターンかな・・・。
でも、しだいに彼は、本性をあらわした。
会うたびに身体を求めてきて、私のコンディションなんて全然無視。
「何かあれば、俺がいるだろう・・・」って、ほんと身勝手。
いつの間にか、私は彼の「夜のお供」にされている、と気付いた。
お坊ちゃんドクターには、よくある話・・・。
そう気付いて間もなく、彼は教授の娘と見合いしたと噂で聞いた。
本当、安手の医療ドラマの筋書き通り、だと思えて、思わず笑ってしまった。
「笑ってる場合じゃないでしょう!」と同僚に言われたけど、怒る気さえも起きなかった。
その後、彼が手切れ金だといって分厚い封筒を持ってきた。
情けないのを通り越して、なんの感情もわいてこなかったが、それを拒む理由もないので、
当然の代償として、私はその封筒を受け取った。
そしたら、彼が何て言ったと思う?
「最後に、もう一回・・・」だって・・・。流石にその一言には、私も、切れた。
看護士になって3年目に、初めて大人の女として恋をしたが、
憧れのドクターが、ただの身勝手なお坊ちゃんで、私はいいように遊ばれた。
その代償として手切れ金のようなお金を貰ったけど、そのお金はほとんど遊びに使った。
日頃のストレスを発散するには、そんなお金でも有効に活用できた。
相変わらず忙しい日々は続いていたが、4年目にもなるとある程度は要領もよくなり、
そつなく対処できると回りからの評価も上がった。
でも、やっぱり非番の休みに一人身は辛かった。辛いというより、淋しかった。
もてあました時間はどうしても人恋しくて、行きつけのバーや居酒屋に通った。
そこで、面白いオジサンに出逢った。
そのオジサンは、居酒屋やスナックを何店か経営しているという。
1週間に1日・2日でかまわないから、うちの店で働かないか?と持ちかけられた。
仕事の事は、内緒にしていたので、たぶんただのOLだと思って誘ったのだろう。
そんなアルバイトは、考えた事もなかった。
最初は、無理・・・・と思ったけど、今までまったく無縁な世界が、なんだかとっても面白そうで、ちょっとだけならいいか・・・と考え、週一でバイトする事にした。
毎週木曜日の夜、8時から11時まで、オジサンが経営するスナックで働き始めた。
最初は、先輩のお姉さんに教わりながらも、あれこれ至らず、お客さんたちに迷惑を掛けた。
それでもそもそも要領が良いので、次第に慣れて、常連客も付くようになった。
普通の女の子とはちょっと違う雰囲気が、たぶん気に入られたのだろう・・・。
そのお客さんの中に、特に彼女に行為を寄せてくれたのが広告会社の彼だった。
ルックスこそイマイチだったが、お話はいつも面白くて、なにしろ佇まいや振る舞いがスマートで、彼女もかなり気になっていた。
彼に何度か食事に誘われたけど、勤務シフトの関係でなかなか約束できず、彼女も申し訳ない気持ちを重ねていた。
しかし、それが結果的に彼をジラスことになり・・・・
彼は徐々に本気で彼女を追いかけるようになった。
彼女は、広告会社に務める彼から何度も食事に誘われてはいたが、勤務シフトの関係で、なかなか都合が付かなかった。
その時点では、看護士であることを隠してスナックでバイトしている事は、彼にもまだ内緒にしていた。
ようやく一緒に食事に行く約束が出来たのは、誘われてから2ヵ月後の事だった。
その頃には、焦らしに焦らされた彼の気持ちは彼女一色になっていた。
だから初めてのデートは、気合が入った。
カジュアルなフレンチのディナーなんて、彼女は初めてだったし、彼だって久々だった。
ちょっと緊張気味に彼女を気遣う彼の気持ち嬉しかった。
だから、その夜彼女は、彼に心も身体も許した。
それ以来、彼は、尚一層彼女に夢中になり、彼女の本当の仕事についても聞きたがった。
仕方なく彼女は、彼に看護士であることを打ち明けた。
すると彼は、そんな大変な仕事をしているのに、なんでバイトなんか・・・・、といぶかったが、彼女の話を聞いて納得したようだった。
「これからは、君の仕事のサイクルにあわせるよ。」と優しく言ってくれた。
この人となら・・・・とその時は思った・・・・が、その彼が、いつの間にか私の言葉尻を捕まえて、グチグチと・・・・。
勢いで「それじゃ、別れましょう。」とは言ったけれど、まさかあんなにうろたえるなんて・・・・。
終いには、ストーカーまがいの「ごめんねコール」・・・。
私達は、もう駄目かとも思ったけど・・・・、
彼の愚痴も愛情の裏返しと思えば、なんだか許せるかも・・・。
私も淋しさから、バイトしたりしたけど、彼だってきっと淋しかったんだと思う。
「ごめんねコール」もウザッタイから、そろそろ彼を許してやろうかな・・・・。
なんたって、私は心優しい「白衣の天使」ですから。
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