【わけ:あり】ナイトクルーザー|《遠距離と二股とエンゲージリング》後篇 2008/8/21

【わけ:あり】ナイトクルーザー

2008/8/21《遠距離と二股とエンゲージリング》後編
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《遠距離と二股とエンゲージリング》後編

今日は、先週に引き続きラジオをお聞きの方からの恋愛体験談をご紹介します。
彼女は今、30代。20代の頃に運命的な出会いで知り合った彼氏との紆余曲折を番組に寄せてくれました。
頂いた体験談にもとづき、一部筆を加えてご紹介してまいります。
さて今週は、どんな展開になるのでしょうか?


数年前の大晦日の夜に、運命的に出会った彼と私は婚約したはずだった。
しかし、遠距離恋愛の彼は、毎週車で福島―盛岡間を往復し、いけしゃーしゃーと、私以外の女と二股をかけていた。

私にとっては、恋敵なんだらろうが・・・その女はあっさり片付いた。
『こんな人だったなんて…私は彼と別れます』そう言って彼女は静かに去って行った。

その夜、彼女に散々責められたらしい彼から、観念したように電話があった。
浮気の経緯を一から説明された。
悪びれた様子もない彼。
『1番好きなのはオマエだよ』だって!
さすが、あのブラボーなフタマタ生活をやってのけた男だけある。

さぁて、どうしてやろうか?
いろいろ考えたけど、しばらく彼を泳がせることにした。
だって、ここで騒ぎ立ててフタマタ相手の彼女と同じコトしてどうするの?
同じレベルで騒いで、もしかして彼が彼女を選んだら悔しいじゃない?

いろんな気持ちを押し殺して、あたしは寛容さを装うことにした。
彼女とは対象的な行動。それには勝算があった。
しっかり彼を引き付けて、あとは捨てるも拾うもあたしの自由。
主導権は、私が握っている。確かな手ごたえを感じてた。

覚悟を決め、指輪は引き出しの奥にしまった・・・・
彼はあたしにいろんな「初体験」をさせてくれた人だった。
遠恋、婚約、そして修羅場・・・・彼と付き合って、あたしは随分変わったと思う。
もしくは、あたしが成長するその時期にたまたま傍にいたのが彼だったのかも知れない。

フタマタ事件後、あたしはそれまで勤めた洋服屋を辞め、昔から抱いていた夢に向かって歩き始めていた。

キャンギャルを経てモデル事務所に所属し、テレビの仕事もはじめた。
仕事は面白いようにどんどん決まってく。
新しい世界は初めてづくしで何をしても楽しかった。
しかし彼は、そんなあたしの変化を快く思ってはくれなかった。
急激に変わってくあたしに彼は苛立っていた。

時間が見えない仕事だから約束ができない。約束が有っても急な仕事でキャンセルしちゃう。
彼には理解できなかったみたい。『仕事だから仕方ないでしょ』っていつも思ってた。
自分は浮気してたくせに、こっちは仕事よ?って…
いまになってみれば、あたしにも思いやりが無かったんだと思う。
そうして、当たり前のように、彼はあたしから離れていった。

出会ってから二年・・・・、長く付き合うといろいろある。
浮気性で二股かけた彼、仕事で相手を省みないあたし。
ただでさえ遠い二人の距離は、ますます離れていった。
あの日、病室で泣きながら誓った結婚話は、いつの間にかどっかにいってしまっていた。
残ったのは『二人で使おうね』って買ったテーブルや食器、
そして、引き出しの奥に眠るダイヤのエンゲージリング。

そろそろ潮時かぁ~・・・・
そう思っていたのは彼も一緒だった。あっちが先に別れを切り出してきた。
別れ話なんて生まれて初めて。
確かにそろそろ終わりかな?とは思ってたけど・・・・・、
なんであたしが振られちゃうワケ?分けわかんない!!!

「もう、俺達終わりにしよう・・・・」電話の向こうで彼が寂しく言った。

電話が切れた後、じっとしていられなくてフラリと飲みにでた。
飲まなきゃやってらんないっつーの!!
四合瓶を抱えて道端をウロついてたら、おまわりさんに止められた。
声をかけられたら、途端にふっと何かが弾けたように、もう涙が止まらなくなった。
子供みたいに泣きじゃくるあたしに困り果てたおまわりさん。
仕方なくパトカーにあたしを乗せて警察署へと向かった。

『一人で帰れる?』おまわりさんの言葉に泣きながらブンブン首を横に振るあたし。
『誰か迎えに来てもらおうか?』と言われ、とっさに彼の電話番号を告げた。

呆れながらも彼が迎えにきてくれるかもしれない…
『何やってんだよ。馬鹿野郎・・・』なんて言いながらも心配してくれるかも・・・・
なんて、淡い期待を抱いていた。
が、しかし、現実はそんなに甘くなかった。
彼は、警察からの電話に、『そんな女、知りません』の一言で電話を切った。
あたしは彼の怒りに油をそそいだようだ・・・・・。

家に帰って部屋に一人。酔ってはいたけど眠れるわけが無かった。
どこで私たちは道を間違えたの?あの浮気事件さえ無ければ・・・・なんて風にも考えた。
その夜、警察に連行された事でさえ、彼のせいだと思えた。
思い付くだけ彼への悪態を並べた後・・・あたしは放心状態になった。
なんか・・・空になった感じ。もう涙は出なかった。
気持ちは驚く程落ち着いていた。
全て捨て去って何も無い世界。「色即是空」という仏教的な境地だった。

そして、私はその日、彼に手紙を書いた。彼への想いを素直に書いた。
あたしは自分勝手で、彼の事を思ってあげられなかった。
あたしにも苦悩があったように彼にだって苦悩があったはず。
あたしはそれを見ようともしなかった・・・・だからこの結果は仕方ないね。
甘んじて受け止めようと思う。ごめんね。
そんなふうに真っ直ぐな想いを込めて、あたしは彼への手紙を、夕暮れのポストに投函した。
私が、本当の気持ちをこめた手紙を出して数日後、手紙を読んだ彼から電話がきた。
彼は『やり直そう』と言う・・・・呆れるほど、単純なヤツだ・・・・
彼を嫌いになったわけじゃなかった。愛していたとも想う。
浮気事件で、意地を張ってるワケでもなかった。
ただ…あたしの心が平になっていただけだ。
もう、あたしは彼と別れたんだ。だらか、あの手紙を書いた。それを分って欲しかった・・・。

紅葉も散り、小雪がちらつく季節がやってきた。
私の仕事は順調だった。年末年始に向けてのハードな日々が続いていた・・・
彼を思い出す暇も無かった。
気付いたらクリスマスイブ。その日も遅くまで仕事をしていた。
家に帰ると間もなく、思いもかけない「別れた彼」からの電話。
『近くに居るから少し会えないか』って…ちょっと躊躇したけど、結局会うことにした。

迎えに来た彼の車に乗り込むと、リボンの付いた大きな箱を渡された。
促されて開けてみると、あたしが欲しかったコートが・・・・
別れた男にこんなもの貰っていーんだろうか・・・・?あたしはコートを見つめながら固まった。
『あげたからヨリ戻せ、なんて言わないから大丈夫だよ』
彼はあたしの心を読んだかのように言った。

プレゼントを受け止り、他愛もない会話をして、そろそろという空気が流れはじめた時、
彼がおもむろにあたしの手を掴んだ。
『やり直せないか…?』
いや~ん!!やっぱりそんな話?あたしはもう一度貰ったコートを見つめる…
断ったらやっぱりコレ置いて帰らなきゃだよ…ね…?
次の瞬間、あたしは彼に抱き寄せられてた。 あー、久々の感触!
プレゼントに負けたのか?ぬくもりに負けたのか?
・・・・・・よくわからないけど、あたしは久々に彼にオチてしまった。

クリスマスイブ・・・・・、また彼が戻ってきた・・・・
とはいえ、やっぱり前のようにはいかない。
結局、彼とは春を待たずに別れた・・・
最後は二人で大泣きして別れた。『大好きだったよ』って抱き合って泣いた。
あたし達は、本物のバカップルだ。
最後は燃えかす。余熱だけで付き合ってたんだと思う。指輪は彼に返した・・・・。
それ以来、私はもう、彼に会うことは無かった・・・。今度こそ、本当にさようなら。

music list

1.Super Fly/How Do I Survive
2.BENNY K/Music Traveler
3.ケミストリー/Life Gose On
4.CHARA/Viollet Blue
5.小柳ゆき/あなたのキスを数えましょう