【わけ:あり】ナイトクルーザー|《再会の夏まつり》 2008/9/4

【わけ:あり】ナイトクルーザー

2008/9/4《許されない愛の十字架》
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《許されない愛の十字架》

様々な「わけあり」な愛の形をご紹介している番組ですが、
今日は、ちょっと大人な二人のお話です。
道ならぬ恋、とか・・・愛し合っているのにひきさかれた二人・・・だとか・・・
世の中には、悲しい恋の物語も沢山ありますが、
今夜の二人は、許されない愛の十字架を背負ってしまったとか・・・
さて、どんなお話なんでしょう。

僕はその頃、飲食店チェーンの営業マンだった。
時はまさにバブルの時代で、毎日がお祭りのような盛り上がりだった。
今みたいに石油価格が高騰するなんて、その頃は思いもしなかった。
だから平気で燃費の悪い高級外車を乗り回してた。
普通のOLさん達でも、高価でゴージャスなブランド品で身を固め
夜毎、ディスコやナイトクラブに集まっていた。
僕らといえば、毎日仕事終わりに馴染みのディスコでそんな女の子達を漁る
まさに「けだものの」の一味だった。

「けだもの」と言っても、カッコよくあるためには、ある意味ブランドが必要で、
僕らはそのディスコで、年に数回のパーティを主催し、その組織の名前でナンパした。
数年前に、集団暴行事件で逮捕された大学のOBみたいな事を普通にやっていた。
思えば、ホント酷い奴らだった。

ちょっと背伸びした若い女の子が、僕らに近づけば…
あっという間に、仲間の餌食になった。もちろん僕もその一味だった。
でもけして違法な行為ではない。
彼女達が僕等のナンパに応じたんだから・・・合意の上の事。
とはいえ・・・、集団で妙な組織を作り、それを餌にナンパする・・・なんて
最低の男達だよね。今は、本当に反省してる。

でも、そんな時に僕は、生涯で最高の彼女に出会ったんだ。
最初は、僕と同じで、掃き溜めの「同じアナのムジナ」だと思ったけど・・・・
実は、彼女こそが、僕の「約束の人」だった。
彼女と出逢ったのは、今から15年前。
今流行のキャバクラみたいな店だった。
身長はそれほど高くは無いが、物凄くセクシーなスタイルで、ルックスも女優系。
僕は一発で、彼女に惚れた。
しかし、夜の店で働く女の子は、それなりに「わけあり」で、
きっと彼女も「海千、山千」。かなりしたたかな女なんだろう・・・と勝手に警戒してた。
一緒に飲みながら、仲良くはなったけど、どうも今一歩踏み出せずにいた。

ある日、大きな仕事が終わって一段落した夜、打ち上げもかねて後輩達と彼女の店で飲んだ。
飲んだ勢いで、ストッキング破りゲームとか、王様とか、バブルならではの遊びで盛り上がった。
僕の標的は彼女だったが、彼女はそれを察しているように、
酔っ払いの僕の無理難題に笑って応じてくれた。
その夜限りの遊びだと思い、僕は酔った勢いで最低の男に徹した。
彼女は、夜の商売のプロだと信じてたので、すき放題を許してくれると思ってた。
・・・・・

数日後、仕事で大手の取引先に呼ばれ、会議室で打合せに挑んだ。
かなり大きな仕事で、僕も緊張していた。そこに、取引先のOLさんがお茶を持ってきた。
ただうつむく僕の耳元に、「頑張って・・・」と、そのOLがささやいた。
思わず顔を上げてみると・・・・そのOLは、昨夜の彼女だった。
「まさか・・・・」

ドアを閉める間際に、彼女が見せた怪しい笑顔を、今も僕は忘れたれられない。
彼女が、大手の取引先のOLだと知ってから、
僕は彼女が夜のアルバイトしている店には、行かなくなった。
そりゃ、やっぱり行きずらい・・・・。
すると彼女の方から電話が入った。
気にしなくていいから、店に着て欲しい・・・と言う。
まぁ営業的な意味もあるんだろう・・・と最初は思ってた。

「来月、私の誕生日なの・・・」と聞かされて、とりあえず誕生日のお祝いでもして、
そこでこれまでの事を「チャラ」にしてもらおうと目論んでた。

その頃のOLさん達が誕生日のプレゼントで喜んでくれるのは、
やっぱりブランド物の小物だろうと読んで、いわゆるLVの財布を用意して
イタリアンなディナーで、誠実にこれまでの不良行為を詫びた。
しかし、意外にも彼女は、これまでの僕等のあの破廉恥な行為には驚くほど寛大で、
僕の差し出した誕生日プレゼントの方が驚きだったらしい。
彼女にしてみれば、軽い気持ちで言った誕生日の事を、
まさま、僕が覚えていて、かなり奮発したプレゼントを用意して、しまもイタリアン・・・。
そんな、微妙なニュアンスの違いがあったけど、
お互いに嬉しい誤算のお陰で二人の距離は、急速に近づいた。

仕事柄、僕は結構接待や仲間内で夜の街に切り出す機会も多かった。
そんな店でバイトしていた彼女は、その辺の事を考えそろそろ潮時だと感じてた。
だから、彼女の方からバイトを辞めると・・・・切り出した時は正直、ホッとした。
それに、彼女がバイトをしていたのは、けしてバイト料欲しさのためじゃなかった。
その店を任されてた彼女の友達に頼まれて仕方なく手伝っていただけだったから、
バイトを辞める事に躊躇は無かった。

それから、僕と彼女の「大人の恋」が始まった。
本気で僕達は、愛し合っていた。
夏の月が、いつも僕達を優しく見守っていてくれた。
僕が37歳、彼女が独身27歳。
多少年の差があって、僕にはバツイチ、子供二人のハンデがあったが、
それでも僕達はきっと大丈夫だと、確信していた。・・・・僕は・・・・。
しかし、彼女は僕に大事な事を・・・・隠していた。というか・・・話しそびれていた。
実は・・・・・その頃、彼女には、結婚を約束した男がいた。
銀行員だと言う・・・・。

ある日、彼女が改まって僕に言った。
「あの日、貴方と恋に落ちた。貴方を愛してる事に嘘はないけれど・・・
貴方と出会う前に約束した人がいるの・・・・」
「・・・・・・・・」

「私達、どうしてもっと早く出逢えなっかたの・・・・」
彼女は泣きながら、運命を呪ったが・・・・、僕は目の前が真っ暗になって・・・
その後の彼女の言葉を覚えていない。
そして、僕達は、今をむさぼる様に泣きながら抱き合った。
彼女の婚約者の事など、その時の僕にはどうでも良かった。

しかし・・・・現実は非常なもので・・・
その年の秋、彼女はホントに銀行員と結婚した。
僕は、もう幸せなど夢見ないと誓った。

しかし・・・
彼女が結婚してから一ヵ月後の夜、ピンポン・・・部屋のチャイムが鳴った。
ドアを開けると、そこに幸せな結婚をしたはずの彼女がいた。
「旦那さんは、勤務先が遠いんで単身なの・・・、だから・・・・」

そして、僕達は今、彼女が独身時代と同じように、むさぼるように愛し合ってる。
彼女の旦那さんに、後ろめたい気持ちはもちろん、ある。
こんな事は、きっと間違っていると思う。
道徳的にも、法律にも反する行為だと思う。
だけど・・・・僕は・・・僕達は、本当に愛し合っているんだ。

彼女が言ったあの日の言葉を思い出す。
「私たちは、どうしてもっと早く出逢えなかったの・・・?」
運命を呪っても仕方がない。
いま僕たちは、この重い十字架を背負って走るしか道はない。

music list

1.RCサクセション/セルフ・ポートレート
2.エゴ・ラッピン/Girls Just Want to Have Fun
3.TSUYOSHI/For Real
4.杏里/夏の月
5.綾香&コブクロ/あなたと